犬の薬膳 春編
漢方生薬を使うのが薬膳だと思っている方が多いのですが、
それは薬膳の1面でしかありません。
薬膳とは自分の体調に合わせて作る料理の事です。
「病気になってから、○○病に効く食材は何ですか?」という
問い合わせが多くあるのですが、はっきりいって食事だけでは病気は治りません。
食事は薬ではなく、体の機能回復や病気の予防にはなりますが、病気を治すだけの力はありません。
病気が治るのであれば、世の中から病気の人はいなくなるでしょう。
特に最近では昔よりそれぞれの食材の栄養価自体が低下してきているので、
より病気を治す力は低下してきていると思います。
ほうれん草
1950年 1982年 2005年
ビタミンC 150ミリグラム 65ミリグラム 35ミリグラム
鉄分 65ミリグラム 3,7ミリグラム 2,0ミリグラム
日本食品標準成分表より
だからといって、全く効果がないというわけではありません。
薬に比べると即効性がないという事です。
ですので、薬膳は病気になってから始めるものではなく、病気になる前に取り入れたい知識です。
春はデトックスの時期
春はよくデトックスの季節と言われております。
寒い冬から気温が上がり、血行が良くなり新陳代謝があがるからです。
新陳代謝があがることにより肝臓がよく働き負担がかかります。
ですので、冬の間にため込んだものが多い人・犬ほど肝臓の負担が大きくなり、
春に起こりやすい病気の症状が酷くなります。
その為、春だけ調子が悪いという人・犬もいます。
それで薬膳の世界では春は肝を整えましょうと言われています。
肝臓は「沈黙の臓器」と言われるように病気なっても自覚症状があまり出ず、
かなり病気が進んでから症状が現れる臓器です。
肝臓は少しぐらいの障害が出ても元に戻る臓器なので、
肝に一番良いのは、働きすぎているのを休ませることです。
つまり断食が一番です。
これを言ってしまったら、売り上げダウンです(笑)
春は食欲が落ちる犬がいる
1、冬は皮下脂肪を溜めるために食欲が増し、春から夏にかけては皮下脂肪を減らすために食欲が減る
2、発情期のため食欲が落ちる
上記の2点が一般的ですが、それ以外にも個々に理由はあると思いますが、
春によく働いている肝臓を休めるために食欲が落ちているのではと私は考えております。
春の時期には自分で自制するのか、食事を食べないという犬がいます。
病院に行って問題がなければ、飼い主様は心配かもしれませんが、
慌てていろいろなフードを試すより食べないというのもいいと思います。
かくいう私も4月はあまり食欲がなく、朝食は食べないし、昼食・夕食は少ししか食べません。
4月の終わりぐらいになると、食欲が増し、痩せたお腹もあっという間に中年太りに戻ります(笑)。
春は気があがるので、上がりやすい犬は抑えて、上がりきらない犬は上げるようにしましょう。
春に起こりやすい体調不良は?
肝のトラブルが出やすいところ
胆・筋・目・爪・感情です。
目・・・・・・充血、乾燥、見えにくくなる
筋・・・・・・痙攣、しびれ、ぎっくり腰
爪・・・・・・割れやすくなったり
感情・・・・・イライラ、やる気がない
春は酸味
この季節よく働く肝臓には酸味がお勧め。
しかし酸味には収縮作用があるので、過剰に摂取すると肝や胆を逆に傷つける事があるので気をつけてください。
あと、テンションの高い犬等には陽気を抑える効果があるのでいいのですが、
テンションが低い犬や寒がり、体質が弱い、高齢犬には酸味を控えて、陽気をあげる「辛味」や「甘味」のある
食材を与えましょう。
肝にお勧めの食材
菜の花、キャベツ、ほうれん草、豚肉
春にお勧めの食材
テンション高めの犬
アサリ、ハマグリ、ごぼう、セロリなど涼の食材
タラの芽、セリ、ウド、菜の花、タケノコなど春の野菜には苦みのあるものが多いです。
苦みの成分は胃腸を刺激し、老廃物を排出してくれるので、春に上がりすぎる気を抑えて
デトックス効果も期待できそうです。
テンション低めの犬
しょうが、しそ、ウドなどの温の食材
胃腸にも気をつけよう
肝と密接な関係がある胃腸にも気をつけましょう。
胃腸にお勧めの食材は
山芋、サトイモ、カボチャ、豆腐、キャベツ。人参、はちみつ、米、トウモロコシ、
肝臓の為にも、春は体を動かしましょう!!
花見、ハイキングなど外に出て体を動かして楽しみましょう!!